ナイキの挑戦とマラソンの〝近未来〟『BREAKING2』で見えた人類の可能性

インターネットTV「AbemaTV」の1周年記念企画『亀田興毅に勝ったら1000万円』が大きな盛り上がりを見せた。元プロボクシング世界3階級王者の亀田興毅氏に一般公募で選ばれた4人が挑むという企画だ。純粋なスポーツとは違うが、筆者も興味深くネット観戦させていただいた。純粋にドキドキしたし、おもしろかったと思っている。

だがGW中には、“亀田劇場”以上に凄いスポーツイベントが開催されたのをご存知だろうか。それが、スポーツメーカーのナイキが仕掛けた『BREAKING2』だ。

フルマラソンで「2時間切り」を目指すプロジェクトで、リオ五輪男子マラソン金メダリストのエリウド・キプチョゲ(ケニア)、ハーフマラソン世界記録保持者のゼルセナイ・タデッセ(エリトリア)、ボストンマラソンで2度優勝しているレリサ・デシサ(エチオピア)の3人が、科学的サポートを受けながら、“未知なる領域”にチャレンジしたのだ。

フルマラソンの世界記録は2時間2分57秒。2時間切りは無謀な挑戦かと思われたが、筆者の想像を上回る走りを見せた。それも、すべてが規格外ともいうべき“特殊環境”のなかで。5月6日にイタリア・モンツァで開催されたレースの模様はネットやナイキのフェイスブックページで世界中に公開。ツイッターの投稿を見る限り、日本人の視聴も多かった。

涼しい時間帯を選び、レースは現地時間の朝5時45分にスタート。スピードダウンを抑えるために鋭い曲がり角の少ない1周2.4kmのサーキット場(17周)で行われ、周囲の木々が風を防いだ。わずか3人の挑戦者に対して、ペースメーカーは合計30人ほど。通常のレースとは真逆ともいえる“グループ構成”が組まれた。

レースは常時、黒のランシャツ姿のペースメーカー6人が誘導。3人が横一列で引っ張り、他の3人が2列目を走る。最後尾に挑戦者という隊列だ。ペースメーカーは入れ替わるが、独自の隊列は変わらない。常時、時速20kmを超えるスピードで進むため、風の抵抗も大きくなるものの、6人のランナーが向かい風をガードした。

先頭が変わることもあり、ペースが安定しない場面もあったが、2列目の3人が“緩和剤”の役割を果たす形で、挑戦者のペースが一定になるように調整。さらに自転車に乗ったスタッフが給水ボトルを手渡すなど徹底的にサポートした。

それは自転車レースを見ているようだった。最後までペースメーカーに食らいついたのは、赤いランシャツ姿のキプチョゲ。中間点を59分57秒、30kmを1時間25分20秒で通過すると、35km付近までは2時間切りが期待できるスピードで進んだ。このペースがどれだけ異次元かというと、ハーフマラソン(1時間00分25秒/佐藤敦之)と30km(1時間28分00秒/松宮隆行)の日本最高記録と比べればわかるだろう。

2時間切りこそ、達成できなかったものの、世界歴代3位のタイム(2時間3分05秒)を持つキプチョゲが世界記録(2時間2分57秒)を大きく上回る2時間0分25秒でフィニッシュ。42kmまでペースメーカーが引っ張り、残り0.195kmはひとりで走って、刻んだ参考記録だった。

キプチョゲが異次元のタイムを叩きだしたことはご理解いただけたと思うが、今回の挑戦には世界を驚かせたいくつもの“要素”が詰まっていた。

『BREAKING2』は何が凄いのか!?

続きは『東洋経済オンライン』で

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