ボストンで3位に食い込んだ大迫傑。その特異なキャリアと今後の可能性

公開日: : THE PAGE, マラソン, 東京五輪

冬の時代が続く日本マラソン界に〝春〟を呼び込むような快走だった。初マラソンとなった大迫傑(ナイキ・オレゴンプロジェクト)がボストンを走り、2時間1028秒で3位に食い込んだからだ。

ボストンマラソンは1897年に創始された伝統ある大会で、世界最高峰シリーズ「アボット・ワールドマラソンメジャーズ」のひとつ(他は東京、ロンドン、ベルリン、シカゴ、ニューヨークシティ)。優勝賞金は15万ドル(約1,635万円)と最も高額で、世界中から〝一攫千金〟を狙う猛者たちが集まってくる。今回も2時間3分13秒の自己ベストを持つエマニュエル・ムタイ(ケニア)ら世界屈指のスピードランナーたちが集結した。

ペースメーカーが不在のため、オリンピックや世界選手権と同じようにガチンコ対決となるのもボストンの特徴だ。今回も給水の度にペースが上がるなど、トップ集団のペースは安定しなかった。そのなかで、白いキャップをかぶった大迫は集団後方で冷静に駆け抜けていた。そして30km付近までトップ集団に食らいつく。引き離された後も、崩れることなく、3位でゴールに飛び込んだ。

世界最高峰のレースで終盤までトップ争いに加わり、優勝したジェフリー・キルイ(ケニア)と50秒、2位のゲーレン・ラップ(米国)とは30秒という僅差。35km手前に「ハートブレイクヒル(心臓破りの坂)」が待ち構えている厳しいコースで、気温が25度近くまで上がったことを考えると、2時間1028秒はかなりの好タイムだ。すでにロンドン世界選手権のマラソン日本代表は決定しているが、もしボストンが選考レースになっていたら、大迫は「日本代表」に選出されていただろう。

2月21日に自身のTwitterで「大迫、ボストンマラソン走るってよ。」とつぶやき、マラソン参戦を宣言した大迫だが、正直にいうと筆者はここまで走るとは予想していなかった。というのも、2月5日の丸亀国際ハーフマラソンで1時間1分13秒の自己ベストをマークするも、終盤にペースダウン。神野大地(コニカミノルタ)に9秒遅れており、距離への不安を感じざるを得なかったからだ。

しかし、大迫は初マラソンでしっかりと結果を残した。彼のポテンシャルを考えると、2020年東京五輪の〝希望の星〟になるだろう。

振り返ると、大迫ほど貪欲に競技に取り組んできたランナーはいない。

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