「スポーツライター志望」大学生の選択① 最初からフリーで活動するのか、それとも就職すべきか!?【後編】

中途半端な思いのままでは、就活も大学生活もタイムアップを迎えてしまう……。そんな焦りもあり、私は「サラリーマン記者」を本気で目指すことに決めた。他のスポーツライターの方にもお会いしたが、全員に一度は出版社や新聞社で働くことを勧められたという理由もある。

考えてみれば当たり前の事で、記者からスポーツライターになれても、逆はなかなか難しい。それでも、私が長いこと決心しきれずにいたのは、スポーツライターへの憧れを、就活からの逃げ道のように考えていた部分があったからだと思う。しかし、リアルなスポーツライターの方々に会ったことで、そうした考えが見透かされているような気がして、自分が恥ずかしくなった。

サラリーマン記者を目指すことを決めたものの、周りの記者志望の学生より圧倒的に遅れをとっていた。スポーツライターに憧れるほどのスポーツ馬鹿だった私に政治や経済の話は右から左に抜けていくだけ。説明会にもあまり行っていなかったため、各社の特徴などはよく分かっていなかった。しかし、スポーツライターの方々とお会いしたなかで、自分の〝目指したい記者像〟だけは決まっていた。筆記試験に不安はあったが、知識問題のマイナスを小論文で取り返すと自分に言い聞かせて就活に挑んだ。

苦しみながらも就活を進め、第一志望のA新聞で、何とか最終面接まで進むことができた。しかし、最終面接でボロが出る。毎日掲載されている小さなページの企画に、もっとこうした方がいい、という改善を提案した。今思えば、たいして新聞を読んでいないくせによくもまあそんなことを言えたな、と思うが、受かりたい一心で必死だった。

「週に一回そうなってますよ」。優しそうな笑顔で、しかし目の奥は全く笑っていない人事部長に言い放たれた冷たい一言で、第一志望のA新聞との縁は切れた。自分が入れるならA新聞しかないと思っていたので、落ちた日はショックで10km近い道のりを歩いて帰り、ひとり焼き肉をした。

最終的には、説明会に一度も行かず、半分記念受験のような気持ちで受けていた某テレビ局に内定をいただき、何とか記者職に採用されることになった。しかし、私はスポーツライターという職業への憧れを捨てたわけではない。

ハンドボール経験者でスポーツ観戦が好き、というくらいしか肩書のない私が、スポーツライターになろうと思ったら、何かしらの実績やコネが必要である。それがあればうまくいく、というわけでは決してないが、経験も実績もない私がやっていくには、「元記者」という肩書が必要だと感じたからだ。

スポーツライターで稼ぐのは大変だということは多くの方から聞いているし、スポーツの取材をどれだけ経験できるかも分からない。そもそも本当にスポーツライターに転向するかも分からない。ただ、私はスポーツライターになるための入り口として記者になった。スポーツライターかサラリーマン記者かという二択の就活は一段落したが、本当に大事なのはむしろこれからである。記者としてするスポーツの取材は、仕事であると同時にスポーツライターになるための就活でもある。数年後、どちらの職業なのか、はたまたどちらでもないのかは分からないが、自分のやりたい事に向かって突き進んでいきたい。

●MATSUGE 1993年生まれ、静岡県出身。大学入学までに1年のタイムラグあり。高校まではハンドボールのキーパー、大学ではスポーツ新聞部でバスケ取材に打ち込む。好きなスポーツ選手は川口能活、宇賀地強。