「二刀流アスリート」が秘める大きな可能性

大谷翔平(北海道日本ハムファイターズ)の活躍が凄まじい。球速165km/hは日本野球機構(NPB)最速投手。昨季は日本プロ野球史上初の2桁勝利(11勝)と2桁本塁打(10本)を達成。今季はキャリア2度目の2桁勝利とキャリア最多の22本塁打を記録して、投打ともにチームの主力としてリーグ優勝に大きく貢献した。

入団当初は、投手と打者の両方を続けていくことに賛否両論があった。筆者は投手に絞った方がいいと思っていたひとりだ。投手と野手を両立して、どちらもトップクラスの成績を残した選手がいなかったこと。将来、米国・メジャーリーグへの挑戦を考えるなら、投手としてのスキルを磨き、価値を高めた方がいいのではないかと感じていたことが理由だ。

しかし、大谷の活躍を目の当たりにして、いかに自分の考えが単純で、固定観念に縛られていたのかを思い知らされた。

ただし、大谷が将来、メジャーリーグを目指すとしたら、米国で両方をこなすのは難しいかもしれない。すでに米国でも注目を集めている大谷は、巨額の複数年契約が予想される。投手としての能力を高く評価された場合、野手で起きるリスク(死球や自打球のケガなど)を考えると、野手としての出番は激減することが考えられるからだ。

ダルビッシュ有も「ナンバーワンになれる可能性があるとしたら投手なので、その可能性を選んだほうがいい。(二刀流は)プロ野球の人気を考えれば見ていて面白いし興味があることになると思うけど、本人がメジャーに行きたいと思った時は絶対に足を引っ張ることになる」と語っている。

大谷というモデルを考えると、能力的に二刀流は可能で、リスクを考慮すると難しい場合もあるということになる。ということは、リスクの少ないパターン(動く金額が巨大ではない)なら、「二刀流」にどんどんチャレンジしていくべきではないだろうか。

二刀流はアスリートがさらに「稼ぐ」方法

野球の場合、NPBだけでも日本人の1億円プレイヤーが70人ほどいる。しかし、野球、サッカー、ゴルフ、相撲、競馬、競輪、競艇などを除くと、1000万円以上稼ぐ日本人アスリートはごくわずかだ。それどころか、日本トップクラスの成績を残しても、生活するのがやっとという競技もある。

今夏にはリオ五輪が開催されて、日本には60名近いメダリストが誕生した。JOCからの報奨金は、金500万円、銀200万円、銅100万円。各協会からも報奨金が贈られるが、日本陸連で金2000万、銀1000万、銅800万円という支給額だった。報奨金の高額な陸上選手が金メダルを獲得しても、総額は2500万円という計算になる。NPBのトップ選手と比べると、金額的なスケールはかなり小さい。

一方、「稼ぐ」ということを考えた場合、ひとつの競技に専念するのではなく、複数の種目に挑戦するという選択肢もあるだろう。近年、ビジネスの現場でも近年、ダブルワークをする人が増えている。もちろんリスクは生じるが、収入源を2つ確保することは、生活面で不安の多いアスリートにとって心強い。人気面などを考えても、「1+1=2」以上の“成果”を残す可能性もある。

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