アスリートの「第二の人生」、その厳しい現実

先日、大学陸上部の同期と久々に集まった。懐かしい顔がそろい、自然と会話が弾む。お酒が進むなか、かつての仲間から苦悩の声も聞こえてきた。なかでも、筆者の胸に一番突き刺さったのは、同期で唯一、陸上の実業団チームに進んだOの言葉だった。

「酒井はいいよな。自分のやりたい仕事をしとるもん。おれなんか陸上をするために入ったのに、いまはやりたい仕事をしているわけじゃないもんね」

Oは1・2年時に箱根駅伝を東京農業大学 チームの一員として走り(3・4年時はチームが予選会を突破できなかった)、地元・九州にある実業団チームへの道を選んだ。しかし、卒業式の日に衝撃な事実を知らされた。

「来年度いっぱいの廃部が決まったという連絡があったよ」

Oは1年間だけ実業団選手として走り、その後は社業に専念している。結婚をして子供もいるOは幸せな家庭を築いているといえるだろう。だが、心のどこかに“別の職業”があったのでは? と苦悶 しているように感じた。

長距離ランナーは「就職」を考えると非常に恵まれている。箱根駅伝で活躍するくらいのキャリアがあれば、陸上部のある大企業にスンナリ入れて、選手を退いた後も、「社員」として生活が保障されているからだ。しかし、よくよく考えてみると、現役引退後は“茨の道”が待ち構えていることが多い。

陸上しかやってこなかった人間が、一流企業のエリート社員と同じスキルを求められても、うまく対応できないからだ。そこでアスリートのセカンドキャリアについてリアルな現実を紹介したいと思い、学生時代に取材したことのある佐々木誠に久しぶりに会いに行ってきた。

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