東京マラソンを沸かした青学大の〝マラソン〟トレーニング

今年の東京マラソンで一番目立ったのは箱根王者・青学大勢だろう。2年生の下田裕太が2時間11分34秒の10位。日本人2番で元気よくフィニッシュすると、3年生の一色恭志は最後に高校時代の先輩・服部勇馬(東洋大)を抜き去り、日本人3番(2時間11分45秒)でゴールに駆け込んだ。橋本崚と渡邉利典の4年生コンビも2時間14分38秒と2時間16分01秒でまとめている。

フルマラソンに同じ大学の選手が同時に4名も出場すること自体がレアケースで、しかも全員がきちんと42.195㎞を走り切ったことに驚かされた。箱根連覇に沸くなかで、青学大勢はどんなマラソントレーニングをしてきたのだろうか。

日本のマラソン練習は「40㎞走」を軸に行っているパターンがほとんどだが、青学大勢は実業団選手とは違うアプローチで行っている。まずは、今回出場した有力選手がどれぐらいの本数・タイムで「40㎞走」をこなしてきたかを紹介したい。

今井正人(トヨタ自動車九州)は、40㎞走を「5本ぐらい」こなして、一番速くて「2時間10分くらい」と話していた。マラソン練習としては〝オーソドックス〟なスタイルだろう。

村山謙太(旭化成)は、40㎞走を2時間5~7分台で5~6回行い、最速は「2時間5分00秒」だった。旭化成の関係者も驚くほどのタイムで、20㎞も強風の中で、「59分00秒」という圧巻のスピードでこなしている。

一方、服部勇馬(東洋大)は1月下旬から2月上旬の約2週間の間に40㎞走を3本こなしたが、タイムは追わずに2時間16分ぐらい。その後、スピードを〝戻す〟トレーニングを入れて、本番を迎えた。

では、青学大勢は何をしたのか。

服部のように年間を通してリオ五輪選考の東京マラソンを強く意識してきたわけではなく、本格的なマラソン練習は箱根が終わってから。しかも、「結果を残す」のが目標ではなく、「マラソン練習をするためのマラソン練習」だったという。

具体的なポイント練習は、「42.195㎞走」で1月中旬と2月初旬に行った。タイムは2時間30分ほど。キロ4分ペースで入り、ビルドアップで40㎞まではキロ3分30秒ペース。最後の2.195㎞は「力を振り絞ること」を意識して取り組んだ。

「量より質を意識した練習で、誰でもできるトレーニングしかしていません。この練習でもこれだけ走れるんだということが分かった」と一色は話しており、次回のマラソンに向けて、手ごたえを十分につかんだ様子だ。

ちなみに一色は「来年もまた東京を走りたい」と再挑戦を口にしているが、下田は、「ユニバーシアードのハーフマラソン代表」を狙うプランもあり、来冬はマラソンに参戦せずに学生ハーフに照準を定めることも考えているという。いずれにしても、青学大勢のマラソン参戦が、日本マラソン界の〝常識〟を変えるかもしれない。

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