鈴木健吾の東京マラソン・プロジェクト

2018年の箱根駅伝は終わったが、学生ランナーたちの挑戦は終わっていない。花の2区で区間賞を逃した鈴木健吾(神奈川大4)は、1月7日に日本陸連主催のニュージーランド合宿に旅立った。

神奈川大は20年ぶりに全日本大学駅伝を制したことで、今回は優勝候補の一角に挙げられていた。2区で1時間6分台、日本人最高記録(1時間6分46秒)の更新が期待されていた鈴木にとって、1時間7分26秒の区間4位は不本意な結果だったと思う。しかし、本人は言い訳をまったくしなかった。

「前半は予定通りでしたけど、権太坂から良くありませんでした。1時間6分台を目指していたんですけど、難しかったですね。マラソン練習もしていましたが、箱根駅伝に照準を合わせてきたつもりです。マラソン練習の疲れは関係ないと思います。(6月に右股関節を痛めたこともあり)準備が足りなかった。1年を通して、しっかりトレーニングができないとタイムが出ないコースかなと思います」

序盤は軽快な走りを見せて、横浜駅前(8.2km地点)は前回より19秒速く通過する。権太坂(15.2km地点)も前回より20秒良かった。しかし、終盤は青学大・森田歩希(3年)につくことができなかった。チームも総合13位に沈み、鈴木は悔しさを噛みしめながら取材に応えてくれた。

箱根駅伝前の記者会見には例年の5倍近い報道陣が集まるなど、今大会は大きな注目を集めていた神奈川大。大後栄治監督は、「優勝候補のプレッシャーですか? チームとしてはありませんでしたよ。でも健吾がひとりで重圧を抱えてしまった部分があったかなと思います」と振り返る。

そして鈴木の走りについては、「健吾は前年と同じくらいの練習はやれていました。12月に入ってからは箱根仕様に注力するかたちでやって、状態としては良くもなく、悪くなく、普通でした。うまくいけば、前年の記録(1時間7分17秒)を上回れるかもしれないと思っていましたが、ちょっとマラソン練習をしていたので、その疲労が抜けていなかった。トレーニングの距離や質が上がっていたので、前年とは少し反応が違っていたように思いますね。長い距離を踏むと、スピードがなかなか出ませんし、そのなかでよく頑張って、まとめてくれたんじゃないでしょうか。今回はマークされる立場でしたし、そういうことを経験して強くなってくれればいいかなと思います」と話していた。

1月のニュージーランド合宿では、昨年3月の同合宿とは異なり、トレーニングメニューは各自に委ねられるという。今回は大後監督も途中から帯同する予定で、鈴木が入社する富士通の先輩・藤田敦史(現・駒大コーチ)が大学4年時のびわ湖毎日マラソンで2時間10分07秒の学生記録(当時)を樹立したときのメニューを参考にマラソン練習を行うつもりだ。

箱根駅伝後は、2月の東京マラソンについて、「特に目標はまだ考えていません」と答えた鈴木だが、昨年5月の『箱根駅伝ノート』の取材では、「後ろの方で走っていても評価されないですし、少なくともマラソングランドチャンピオン(MGC)レースの出場権は狙っていきたいと思っています」と話していた。

東京五輪の最重要選考会となるMGCの出場権を東京マラソンで獲得するには、日本人3位までが2時間11分00秒以内、同6位までが2時間10分00秒以内でゴールしなければいけない。鈴木はそのラインを視野に入れながら、初マラソンに取り組んでいくことになる。箱根から世界へ。神奈川大・鈴木健吾のチャレンジはこれからが〝本番〟だ。