『陸王』の足袋型より速いナイキの厚底シューズ

人気ドラマ『陸王』(TBS系列)が12月24日に最終回を迎える。

老舗足袋製造会社「こはぜ屋」は業績が低迷したことで、社長(役所広司)を中心に足袋づくりのノウハウを生かしたランニングシューズの開発をスタートさせる。その新シューズ「陸王」を履いて、故障に苦しんでいた茂木裕人(竹内涼真)が、再起を目指すという内容だ。

吹けば飛ぶような中小企業と“無名”のランナーが、大企業や有名選手に対抗していく人間ドラマは毎回高視聴率をたたき出している。

ただ、「箱根駅伝」を走った経験のある筆者から見ると、「これはちょっと違うな」というシーンがちょくちょくある。最も気になるのは、「シューズ」についてだ。ドラマのなかでは〝裸足感覚〟で走ることができるという足袋型の薄底シューズが登場するが、現在の陸上界では、「陸王」とは真逆ともいえる厚底シューズがトレンドになっているからだ。

2009年に全米で『BORN TO RUN』(日本語版はNHK出版)という本がベストセラーになって以降、各メーカーは「ベアフット(裸足)感覚」のシューズを開発するようになった。そのひとつが「ゼロドロップシューズ」と呼ばれるものだ。踵と爪先の高低差がないソールを採用したシューズで、ニューバランスやALTRAなどのメーカーが代表格。国内ではミズノも似たようなコンセプトのシューズを出している。

ちなみに劇中に登場する足袋型シューズはミズノが製造を担当しているが、原作のモデルだと言われるランニング足袋の製造元は「きねや足袋」だ。同社は「きねや無敵(MUTEKI)」という商品を販売している。ドラマの影響もあったのだろう。現在は品薄状態が続いているという。

池井戸潤が原作となる小説『陸王』を発表したのは2013年7月だ。当時はソールが薄く、フラットなシューズは最先端のかたちだった。だが、現在、陸上界のトップランナーが足袋型シューズを履いているかというと、答えは「NO」だ。それどころか、最近の陸上界では、ナイキの〝厚底シューズ〟を履く選手が急増している。

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