落選しても笑顔。慶応大が箱根駅伝の出場まで「7分近づいた」

箱根駅伝の予選会には〝天国〟と〝地獄〟を隔てる明確なラインが存在する。通常開催となる第94回大会は上位10校が予選通過となるため、10位・東京国際大がマークした合計タイム10時間10分34秒のところにボーダーラインが引かれたかたちだ。そこに少しでも遅れたら、正月の晴れ舞台はめぐってこない。2年前の予選会では国士大が10秒届かず、落選。ひとり「1秒差」が明暗をわけている。

毎年、取材して感じているが、本戦出場を決めた大学と、落選した大学では、結果発表後の空気がまったく違う。笑顔と涙。結果を知らない人でも、その大学が通過できたかどうかは判断できるくらいに異なっている。

しかし、それは箱根を本気で目指してきた大学だけに〝共通〟するもの。今回の予選会には49校が出場したが、落選したすべての大学が悔し涙を流したわけではない。本戦に届かなくても、笑顔を見せた大学はいくつもある。

数校の取材を終えて、慶大のもとへ行くと、選手たちは笑顔で胴上げをしていた。おそらく最後の予選会となった4年生が宙に舞っていたのだろう。慶大は今季から「慶應 箱根駅伝プロジェクト」を始動。日体大で4年連続して箱根駅伝を走り、日清食品グループで全日本実業団駅伝の優勝を経験している保科光作がコーチに就任して、長距離の本格強化をスタートさせている。

選手たちが騒いでいるのを見て、なんかうれしそうだね、と保科コーチに声をかけると、「よくわかんないです」と苦笑いを見せた。保科体制1年目の今回は総合27位(合計タイム10時間42分42秒)。ボーダーラインまで32分08秒もの開きがあったが、合計タイムでは大学記録を更新したという。それでも保科コーチは、「僕が立てた目標が高かったこともありますが、うまく走らせてあげることができませんでした」と悔しそうだった。

今回の目標タイムは「10時間36分」。3年生の根岸祐太はフリーで走り、6人はキロ3分10秒ペース、5人はキロ3分15秒ペースで15kmまで集団走を予定していたが、うまくいかなかった。根岸は60分58秒と健闘したものの、他は3人が63分台、2人が64分台、4人が65分台と伸び悩んだ。しかし、昨年はボーダーラインまで39分10秒差だったことを考えると、箱根まで約7分も〝接近〟したことになる。

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