3度目の挑戦でセミファイナルに進出した安部が感じた〝世界の実力〟と今後について

400mハードルの安部孝駿(デサント)にとって、ロンドン世界選手権が今後へのターニングポイントになるかもしれない。他の日本勢が苦戦するなか、3回目の世界選手権となる安部は予選(1組)を49秒65の2着で悠々と通過する。そして、準決勝(2組)でも途中まで〝イメージ通り〟のレースを見せた。

序盤から攻め込み、5台目までは世界と互角に渡りあったのだ。しかし、6台目で少し遅れると、7台目のハードルを踏み倒して、失速。ラストは激しく競り合うも、4着と同タイム(49秒93)の5着に終わり、ファイナル進出を逃した。

ミックスゾーンに現れた安部は、「決勝が目標と言っていましたけど、ファイナルに残るのはそう甘くないなというのが一番の感想です」と切り出した。そして、準決勝のレースをこう振り返った。

「前日の予選はスタートで失敗したんですけど、準決勝はうまく修正できて、前半の入りも良かったと思います。でも、7台目のハードルをぶつけてしまって、そこがもったいなかったですね。頭のなかで競っているという気持ちの焦りが出たのか、自分のリズムで行くことができず、6台目の踏み切りが少し遠くなりました。7台目は14歩で行くと決めていたんですけど、(13歩の)6台目をもう少し余裕を持って超えられていたら、その先もスムーズに行っていたと思います。10台目を越えた後は、接戦になったので、着順(2着以内)じゃなくてもという気持ちで思い切って走りました。タイムはちょっと悪かったですね。自分の感覚では、49秒中盤ぐらいは出たと思うんですけど……」

ヘルシンキ大会(05年)の為末大以来、日本勢12年ぶりの決勝進出を逃したが、準決勝の走りは今後の期待感を抱かせるものがあった。安部は2010年の世界ジュニア選手権で銀メダルを獲得しているハードラー。将来を期待されながらも、近年は故障に苦しみ、低迷した。それでも、今年1月に故郷・岡山に練習拠点を移すと、今季は「ゼロからやり直すつもり」でリスタートを切った。

そして、5月のゴールデングランプリ川崎で7年ぶりの自己ベスト(49秒20)をマークして、日本選手権の予選でさらにタイム(48秒94)を短縮。同大会の初優勝も飾り、世界選手権でも及第点といえる走りを見せた。初めて戦ったセミファイナルを経験して、安部は〝世界の実力〟を肌で感じたという。

「予選をプラスで通過した選手が、準決勝で着順に入ったりするので、予選でつくって、準決勝でさらに上げていくという余裕の差を感じました。ウォーミングアップから予選と準決勝では空気が違っていましたし、それを知ることができたのは良かったと思います。ファイナリストになるには一回りも二回りも大きくならないとダメですね。悔しい気持ちが強いですけど、ここまで来られたというのは大きな収穫ですし、この経験を今後に生かしていきたいです」

世界選手権までは、「6台目までが13歩、7~8台が14歩、9~10台が15歩」というレースパターンだったが、今後は新たなスタイルを目指していくという。

「前半6台目までは13歩が安定してきたので、それを7台目まで伸ばしていく予定です。外国人選手は終盤も14歩で押していくので、自分もそういうレースパターンに挑戦したい。とにかく、次の世界陸上に向けて強くなりたいです」

安部の目指すレースが完成すれば、2019年ドーハ世界選手権では十分にファイナルが狙えるはずだ。そして、2020年東京五輪の〝メダル〟も夢ではないだろう。