日本記録の陰に潜む女子短距離界の「空洞化」問題

日本陸上競技選手権の最終日。福島千里(北海道ハイテクAC)が女子200mで22秒88の日本新記録を打ち立てた。自らが保持していた日本記録を6年ぶりに0.01秒更新して、「うれしいな、と久しぶりに心から思いましたね。長かったですけど、これを弾みとして次に向かうことができる、いいきっかけになったと思います」と福島は素直に喜んだ。

「0.01秒」という時間を日常生活のなかで意識することはない。しかし、スプリンターにとってはすごく意味のある時間になる。自己ベストを0.01秒縮めるのは、簡単なことではないからだ。

福島は今回の日本選手権で100mを7連覇、200mでは6連覇を達成。近年の女子スプリント界では〝独壇場〟だ。ライバル不在のなか、ただひとり「世界」を意識して戦ってきた。08年北京五輪に日本人選手として56年ぶりに女子100mで出場すると、11年テグ世界陸上の100mと200m、15年北京世界陸上の100mでは準決勝まで進出している。

日本選手権のWタイトルで、「リオ五輪代表」も2種目で内定した。福島が〝日本陸上界の華〟としてメディアを沸かせてきた陰で、女子スプリント界の〝空洞化〟が深刻な状況になっている。28歳となった福島を脅かす存在がまったく育っていないからだ。

女子100mと同200mのリオ五輪参加標準記録は「11秒32」と「23秒20」。日本選手権前に福島以外の現役選手で最速タイムを持っていたのは、100mが北風沙織(北海道ハイテクAC)で11秒42(08年)、200mが市川華菜(ミズノ)で23秒51(12年)だった。北風と市川は近年自己ベストを更新しておらず、福島以外、現実的な目標として「世界」を狙える選手はいなかった。

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