走れば野球がうまくなるは幻想だ アスリートはトレーニングの中身を精査せよ

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、3月以降、ほとんどのスポーツ競技がストップしたままだ。

日本プロ野球機構(NPB)も3月9日、12球団代表による臨時会議が行われ、当初3月20日に開幕予定だった2020年シーズンを延期する判断が下された。早く球音を聞きたいというファンは多いが、3月22日に行われたプロ・アマ交流戦において、そのファンをざわつかせる、ある「事件」が起きた。

この日、巨人の2軍チームが早稲田大学野球部に6-9で敗れた。こうした練習試合ではプロがアマに負けることはある。ところが、阿部慎之助2軍監督は、ベンチ入りしていた全選手に「PP走」(両翼ポール間を走るメニュー)を命令。試合で9四死球を出した投手陣に15往復、それ以外の選手には10往復を走らせた。いわゆる「罰走」である。

この命令についてはファンの間で、「パワハラではないか」との意見が続出し、「論理的だったらいいけど、感情論で走らせるのはよくない」と苦言を呈する野球評論家もいた。メジャーリーグ(MLB)のシカゴ・カブス投手、ダルビッシュ有(33)も、「2005年にはすでに(かつて自分が在籍した)日本ハムには無駄なランニングがなかった」とツイートした。

阿部2軍監督は41歳。昨年まで現役で、2000本安打、400本塁打を達成した名選手だ。ひょうきんなキャラクターも人気で、将来の巨人1軍監督の最有力候補である。その阿部監督が「罰走」を命令するなんて……。いまだにこうしたシゴキが日本のプロ野球界にはびこっていることに少なからずショックを受けた。

以前から日本のプロ野球チームに入団した外国人選手は、「なぜ日本人は走ってばかりいるのか」と疑問の声をあげている。

ダルビッシュも今回の「罰走」を巡り「才能のない選手は試合で活躍するには走り込みは必要では」というツイートに対して、「逆にそれで才能のある選手がかなり潰されています。そもそも自分が走り込み、投げ込みを高校、プロとしていたらまずここにはいません。本来なら自分より才能のある同級生はもっといたはずです」と返信。やはり〝走り込み信仰〟を切り捨てている。

ダルビッシュはトレーニングとしてのランニングを否定しているわけではない。だが、一定レベルの技術を持つプロ選手に対して、監督やコーチが過剰な走り込みや投げ込みを命じるのはおかしい、という考えだ。そして、自身はウエイトトレーニングを中心に「投げるカラダ」を作ってきた。その傾向はMLB のチームに移籍してから顕著となった。

彼の言動の背景には、NPBとMLBの体格差がある。

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