4時間ちょっとで2億円を稼いだ男の陸上バカ人生

3月1日に行われた東京マラソンでの走りにしびれたという方は少なくないだろう。自らが持つ日本新記録を21秒更新する2時間5分29秒で突っ走った。30km地点では13位だったが最後は4位まで浮上し、日本人1位でゴールするという華麗なる〝逆転劇〟だった。代表選考最終レースである3月8日のびわ湖毎日マラソンで大迫の記録を上回る者は現れず、オリンピック出場を決めた。

大迫は昨年9月のマラソングランドチャンピオンシップ(以下、MGC)で東京五輪男子マラソン代表の内定(2位以内)を手にすることができなかった。それでもMGCファイナルチャレンジで日本陸連の設定記録を突破する選手がいなければMGC3位の大迫が代表内定となる立場にあった。

日本陸連の設定記録は大迫がその時、保持していた日本記録を1秒上回る2時間5分49秒。自ら五輪チケットを奪いにいくべきか。それとも、果報を待つべきか。大迫の動向が注目されていたが、日本記録保持者は自ら〝東京決着〟を選ぶ。その理由が素晴らしかった。

「東京五輪うんぬんではなく、シンプルにチャレンジしたい大会だったからです。日本記録のチャンス、優勝のチャンス、ワールドマラソンメジャーズで活躍できるチャンス。そういうものに挑戦したかった」

挑戦しないことが最大のリスク

大迫を長年取材してきて感じるのは、2つの道があったとすると、あえて困難な道を選び、そこで苦労しながらも結果を残してきたことが彼の「凄さ」だと思う。

「目の前にチャンスがあるのに挑戦しないことの方が僕にとってリスクなんです」

そう言い切る大迫は、東京都町田市の出身。中学時代から「強くなりたい」という気持ちにあふれていた。高校は長野・佐久長聖に進学する。15歳で東京から長野へ。高校では丸刈り頭で厳しい生活を過ごした。これだけでも小さくない挑戦になるが、早稲田大学に進学して、彼の野望はさらに大きなものになっていく。

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