「常識」を覆したナイキの厚底シューズはどうなるのか?

エチオピアの英雄、アベベ・ビキラは1960年のローマ五輪を裸足(はだし)で走り、2時間15分16秒2の世界記録で金メダルに輝いた。その4年後、東京五輪ではシューズを履いたアベベがベイジル・ヒートリー(英国)の記録を1分44秒も塗り替える2時間12分11秒2の世界最高記録で再び金メダルを獲得した。

4年間で約3分のタイム短縮は「シューズ」というギアの影響が多分にあったことだろう。当初、アベベはシューズの使用を嫌がっていたというが、現在は裸足よりもシューズを履いた方が速く走れるということが常識になっている。


2度目の東京五輪を迎えようとしている現在。今度はナイキが仕掛けた厚底シューズが「常識」を覆している。

これまでレース用で使うスピードタイプのシューズは「薄くて軽い」が常識だった。シューズが100グラム軽くなると、マラソンのタイムが3分近く縮まるという研究データもある。余計な機能をそぎ落として、1グラムでも軽くすることで、エネルギー効率を高めたのだ。

その流れの中で、ナイキは軽量化以上に、推進力を得られやすくすることと着地のダメージから脚を守ることにシフトチェンジ。反発力のあるカーボンファイバープレートを、航空宇宙産業で使う特殊素材のフォームで挟むという「厚底シューズ」を完成させた。


『ズームX ヴェイパーフライ ネクスト%』の踵(かかと)部分の厚さは37ミリ。薄底シューズの3倍近くある。それでいて重量は28センチで片足190グラムと薄底シューズとさほど変わらない。

速さの秘密は硬質なカーボンファイバープレートにある。地面を蹴る直前に湾曲して、元のかたちに戻るときに、グンッと前に進むのだ。加えて、プレートを挟んでいる「ズームXフォーム」にも最大85%のエネルギーリターンがある。その二つの効果が従来にはない「速さ」と「持久力」を可能にした。

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