灼熱のドーハで感じた夏マラソンの限界

来夏に開催される東京五輪のマラソンと競歩が札幌で開催されることになる見通しだ。今回の判断には、ドーハ世界陸上のマラソンと競歩で棄権者が続出したことで、選手やコーチから批判の声があがり、IOCが危機感を強めたのが大きな理由だという。

IOCのトーマス・バッハ会長は、「選手の健康は常に懸案事項の中心。マラソンと競歩の変更案は懸念を真摯に受け止めている証しだ。選手に最高の状態を確保する措置だ」というコメントを発表している。

ドーハ世界陸上を現地で取材した身として、ひとつ主張したい。札幌は東京よりも涼しいが、これでマラソンが面白くなるとは思えないのだ。

ドーハ世界陸上のマラソンは退屈だった

6~8月の平均最高気温は40度以上。カタール・ドーハは灼熱の地として知られている。2年に一度行われる世界陸上は通常8月開催だが、今回は暑さを考慮して9月27日~10月6日というスケジュールだった。

現地で取材してみると、ハリファ国際競技場は屋外スタジアムにも関わらず気温は25度前後に管理されており、非常に過ごしやすかった。しかし、ドーハの街は想像通りに暑かった。俳優・織田裕二がTBS系で放送された『世界陸上2019ドーハ』の中継で「ここはミスとサウナか!」という突っ込みを入れたほどだ。

ハリファ国際競技場の外で行われたマラソンと競歩は酷暑を避けるために、前代未聞のミッドナイトレースとなった(マラソンは23時59分、ス競歩は23時30分スタート)。それでもドーハの夜は涼しくなかった。

大会初日に行われた女子マラソンは気温32.7度、湿度73.3%。現地を少し歩くだけで、汗が噴き出した。非常に不快感のある夜になった。日本勢は武冨豊女子マラソン部長(天満屋監督)が、「2時間38~39分台を出せば入賞できる」と予想して、それが的中する。

「3人とも入賞争いをする実力はない。とにかく暑さと湿度があるなかで、3人が交代で引っ張りながら5km19分を切るくらいのペースで行き、最後は元気のある者が上げていけば入賞の可能性はあると思っていました」

日本勢は3.5kmずつ交代で引っ張り、レースを進めた。その結果、マイペースを貫いた谷本観月(天満屋)が徐々に順位を押し上げて、2時間39分09秒で7位。見事、入賞ラインに到達した。

なお女子マラソンの優勝記録は2時間32分43秒で、1983年から始まった世界陸上でワーストタイムだった。これは厳しい気象条件が大きく影響している。

続きは『PRESIDENT Online』で