東京五輪マラソンの札幌開催で日本勢のアドバンテージは消滅する

国際オリンピック委員会(IOC)は16日、猛暑が懸念される東京五輪のマラソンと競歩について、札幌で開催することを検討すると発表した。今月30日から3日間、都内で行われるIOC調整委員会で、大会組織委員会と東京都などと議論するという。しかし、トーマス・バッハ会長の意向は強く、このまま札幌開催が決まりそうな雰囲気になっている。

国際陸連(IAAF)のセバスチャン・コー会長も、「選手に最高の舞台を用意することは重要。最高のコースを用意するためにIOCや大会組織委員会などと綿密に連携していく」と前向きだ。一方で日本陸連の横川浩会長は、「寝耳に水。情報収集して今後の対応を見極めたい」と話すように、開催国である日本勢にとっては、サプライズともいうべきジャッジになる。

今回の開催場所変更については、ドーハ世界陸上の女子マラソンの〝惨劇〟が大きかったという。IAAFのコー会長は大会前の記者会見で、「ランナーの経験があれば、温度ではなく、湿度に大きな問題があると理解できる。私たちの医療チームは大きな警鐘を鳴らしている」と話していたが、ドーハのミッドナイトレースは想像以上に厳しかった。

大会初日に行われた女子マラソンは気温32.7度、湿度73.3%。現地で取材していて、少し歩くだけでも不快感のある気候だった。そのなかを選手たちは走ったわけで、レースは低調に終わった。優勝記録の2時間32分43秒は、1983年から始まった世界陸上でワーストタイム。出走68名中28名が途中棄権しており、日本陸連のある幹部は、「日中にレースをしたら死人が出ていたかもしれない」と漏らすほどだった。

男子50km競歩も女子マラソンと同じような気象条件で、47人がスタートしたものの、ゴールできたのは28人(失格を含む)しかいなかった。金メダルを獲得した鈴木雄介(富士通)は終盤、徒歩のような速度に落として水分を補給。優勝記録の4時間4分20秒は、大会記録より30分以上も遅く、過去のワースト優勝記録と比べても10分以上も悪かった。

東京の気候はというと、今年の8月2日(東京五輪の女子マラソン開催予定日)は朝6時で気温27.7度、湿度93%。8月9日(東京五輪の女子マラソン開催予定日)は朝6時で気温27.5度、湿度86%。日差しが降り注ぐことを考慮すると、今回のドーハ世界陸上以上に過酷な条件になる可能性がある。IOCのバッハ会長と、IAAFのコー会長が、東京の酷暑を警戒するのはよく理解できる。

では、札幌開催になるとどうなるのか。

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