大迫傑、MGCで見せる〝王者のマラソン〟

約2カ月前、大迫傑(ナイキ・オレゴン・プロジェクト)は日本のメディアに取材を許した。同行した私は、大迫がこれまで語ってきたこと、あえて語らなかったことの〝答え合わせ〟をするかのように彼のトレーニングをつぶさに観察した。

ナイキ・オレゴン・プロジェクトはトレーニング内容などをシークレットにしているため、大迫に聞いても具体的なことは答えてくれない。ただし、「皆さんが思っているほど、特別なことはしていませんよ」と彼は以前話していた。

オレゴン州ポートランドの郊外、ビーバートンにあるナイキ本社とその周辺には、オールウエザーの400mトラック、芝生のフィールド、ウッドチップコース、クロカンコース、ウエイトトレーニング場などが完備。素晴らしい環境が整っているが、大迫の言葉通り、米国で見たトレーニングのほとんどは、今となっては日本の実業団や大学でも取り入れているものだった。

近年は大迫と一緒にトレーニングをしている日本人選手もいるし、ナイキ本社を拠点にしているバウワーマン・トラッククラブで武者修行をしている日本人選手もいる。もはや大迫だけが特別な環境でやっているわけではない。

大迫は世界のマラソンを席巻しているナイキの厚底レースシューズを履いて結果を残してきた。MGCでは最新モデルの『ズームエックス ヴェイパーフライ ネクスト%』を男子出場選手の半数近くが着用する見込みで、彼だけの特別なギアではない。

しかし、大迫だけが一段と強い輝きを放っているように見える。それはなぜなのか? 「速く走りたい」という気持ちが誰よりも強いからだろう。大迫はかつてこんなことを言っていた。

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