群雄割拠の日本短距離界はサニブラウンの〝1強時代〟へ突入するのか!?

日本選手権2日目のフィナーレを飾る男子100m決勝。豪雨に耐えた1万3000人の観衆は、わずか10秒で決着する日本人最速の座をかけた戦いに胸を躍らせていた。雨上がりのトラックに現れた8人のスプリンターが決戦のレーンに入る。静寂の後、大歓声に後押しされるように、ストライドをグイグイと伸ばしたのが日本記録保持者のサニブラウン・ハキーム(フロリダ大)だ。

序盤は前日本記録保持者の桐生祥秀(日本生命)が前に出るも、中盤からはサニブラウンがレースを支配した。圧倒的なスピードでライバルたちを引き離していく。フィニッシュラインに到達したときには、後続と1.5m近くの大差がついていた。

優勝タイムは10秒02(-0.3)。桐生が10秒16で2位、小池祐貴(住友電工)が10秒19で3位だった。2年ぶりの優勝を果たしたサニブラウンは、「内容的には準決勝の方がいい走りだったと思うんですけど、それでもしっかり集中して、レースに勝てたので、その部分に関してはうれしいです」と笑顔を見せた。

ただし、10秒02という記録については、「何ともいえないタイムですね」と首をかしげた。ファンが期待した9秒台には届かなかったが、サニブラウンが決勝で刻んだタイムは素晴らしいものだったと思う。

サニブラウンは前日の準決勝で2002年の朝原宣治、2年前のサニブラウン、昨年の山縣亮太が持つ大会記録と同じ10秒05(+0.1)で走っていた。決勝は向かい風と雨上がりのコンディションで10秒02の大会新記録。過去5年間の優勝記録と2位とのタイム差を見れば、そのパフォーマンスがずば抜けていたことがわかるだろう。
※以下は、日本選手権覇者、優勝タイム、2位とのタイム差。

14年 桐生祥秀 10秒22(+0.6) 0秒05
15年 高瀬慧 10秒28(-0.9) 0秒12
16年 ケンブリッジ飛鳥 10秒16(-0.3)0秒01
17年 サニブラウン・ハキーム 10秒05(+0.6) 0秒11
18年 山縣亮太 10秒05(+0.6) 0秒09(+0.6) 0秒09
19年 サニブラウン・ハキーム 10秒02(-0.3) 0秒14

まずタイムについて。サニブラウンと山縣が10秒05で走ったときは、ともに追い風0.6m。2002年に朝原が10秒05をマークしたときは追い風1.4mという好条件だった。今回は向かい風0.3mで10秒02。追い風の条件で走っていれば、9秒台が出ていた可能性は高い。

次に2位の選手とのタイム差だ。今回の0秒14は過去5年間のなかで最大差。サニブラウンが10秒05で優勝した2年前は、2位が多田修平で10秒16、3位がケンブリッジ飛鳥で10秒18。桐生は4位で10秒26だった。そのときよりもタイムが上がっただけでなく、2位以下との差も広がっており、サニブラウン〝1強〟の印象が強まった。

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