なぜ大迫傑は日本人初の「2時間5分台」を実現できたのか? その4つの理由

10月7日に行われたシカゴマラソンで大迫傑(ナイキ・オレゴン・プロジェクト)が2時間5分50秒の日本記録を樹立した。従来の記録は今年2月の東京マラソンで設楽悠太(Honda)が叩き出した2時間6分11秒。高岡寿成がマークした日本記録(2時間6分16秒)を16年ぶりに塗り替えた設楽の走りも素晴らしかったが、大迫はもう1ランク上になる。

2時間6分00秒と2時間5分59秒。わずか1秒しか違わないが、その差は大きいからだ。マラソン大国ケニアでは、「2時間4分台の男」や「2時間5分台の男」と呼ばれるように、自己ベストで格付けされる面もある。そして、日本記録以上に〝記録の壁〟を越えたことは価値が高い。日本人としては1999年の犬伏孝行(2時間6分57秒)以来、19年ぶりの〝新時代突入〟で、大迫は「2時間5分台の男」になった。

大迫はレース直後のインタビューで、「日本新記録は非常にうれしいです。2月の設楽悠太選手がモチベーションになっていました。気象条件は結構過酷で、(日本記録が)出るかどうか分からなかったですけど、最後の1マイルでいけるぞ、と思って頑張れた。タイムを切れてよかったです。トップをとれずにまだまだだけど、日本人でもしっかり優勝争いに絡めることを証明できた。これからも期待してもらいたいな、と思います」と喜びを表現した。

トラックや駅伝で活躍した大迫は、2015年3月末に日本の実業団チームを退社して、プロランナーになった。米国のナイキ・オレゴン・プロジェクトでトレーニングを積み、5000mで13分08秒40の日本記録を樹立すると、日本選手権の1万mを連覇(16~17年)。昨年からマラソンに参戦して、順調にキャリアを重ねてきた。

大迫がマラソンでも躍進できた要因はたくさんある。プロランナーとしての意識、日本人には少ないフォアフット走法、5000mで日本記録を持つスピード、駅伝に縛られずマラソンに集中できる環境、世界最強チームのトレーニング。さらにナイキ ズーム ヴェイパーフライ4% フライニットという〝魔法の厚底シューズ〟の恩恵を受けた部分もあるだろう。そして大迫が〝2時間5分台〟に突入できた理由を考えたときに、「レースの選択」「タイムの意識」「レースの進め方」「世界を見る目」。この4つが他の日本人と少し違う気がしている。

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