アジア大会男子長距離派遣ゼロの理由と東京五輪マラソン選考の致命的欠点

東京五輪が2年後に迫り、盛り上がってきた種目がある。大会のフィーナーレを飾る男子マラソンだ。2年前のリオ五輪は佐々木悟(旭化成)の16位が最高と、近年の日本勢は低迷していた。それが、この1年ちょっとで、輝きを取り戻しつつある。振り返ると、大迫傑(ナイキ・オレゴン・プロジェクト)のマラソン参戦が契機になったように思う。

大迫は昨年4月のボストンで表彰台(3位)に立つと、12月の福岡国際で現役最速タイム(当時)の2時間7分19秒(当時・日本歴代5位)をマークした。そして大迫の活躍に刺激を受けた同学年の設楽悠太(Honda)が、今年2月の東京マラソンで爆走する。14年ぶりに日本記録を塗り替える2時間6分11秒で突っ走った。同大会では1学年下の井上大仁(MHPS)も2時間6分台で走破すると、木滑良(MHPS)、宮脇千博(トヨタ自動車)、山本憲二(マツダ)、佐藤悠基(日清食品グループ)は2時間8分台でフィニッシュ。条件に恵まれたとはいえ、日本人選手9名がサブ10を達成する〝大豊作〟になった。

さらに昨夏のロンドン世界選手権で「入賞」にあと一歩と迫った川内優輝(埼玉県庁)が、今年のボストンで優勝。メダリストたちを撃破して、世界を驚かせた。公務員ランナーは、来春からのプロ転向を表明。マラソンに本格参戦中の神野大地も4月末でコニカミノルタを退社して、プロランナーとして動き出した。

これだけ日本の男子マラソンが活況しているのは、「2020年東京五輪はマラソンで勝負したい!」と本気で考えている選手が多いからだ。さらに日本陸連がMGC(マラソングラウンドチャンピオンシップ)を設立するなど、東京五輪代表への道筋を明確にしたのも大きい。まずは来年9月15日に開催されるMGCの出場権をつかもうと、有力選手が続々とマラソンに参戦している。

マラソンで「結果」が出ているのは日本陸連の狙い通りで、素晴らしいと思う。しかし、その反動がトラック種目に表れている。6月に行われた日本選手権の長距離種目は、近年で最も〝低レベル〟だったのだ。

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