最大格差は6倍弱?不公平感満載の「インターハイ」出場資格を本気で考えてみた。

まもなく陸上競技のインターハイ(全国高校総体)が始まる。インターハイ路線は近畿大会の取材に行ったが、改めて感じたのは近畿大会のレベルの高さだ。陸上競技は地区大会で「6位以内」(一部種目は除く)に入ると全国への出場権をつかむことができる。その格差問題は『プレジデントオンライン』でも書いた通りで、近畿と南関東のボーダーラインは高い。そもそも地区大会ごとで競技人口が大きく異なるのに、「突破枠」が同じというのは非常に不公平だ。

そこで、まずは平成29年度の高体連加盟・登録状況(陸上競技/男子)を見ていただきたい。

北海道 2,511名
東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)6,588名
北関東(茨城、栃木、群馬、埼玉)6,985名
南関東(千葉、東京、神奈川、山梨)12,332名
北信越(新潟、富山、石川、福井、長野)4,732名
東海(岐阜、静岡、愛知、三重)10,508名
近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)10,885名
中国(鳥取、島根、岡山、広島、山口)4,672名
四国(徳島、香川、愛媛、高知)2,149名
北九州(福岡、佐賀、長崎、大分)4,646名
南九州(熊本、宮崎、鹿児島、沖縄)2,673名
※女子は男子の6割ほどの登録者数になる。
※詳細は「高体連サイト」を参照ください。

登録者数は北海道、四国、南九州が3,000人に満たない一方で、南関東、近畿、東海は1万人を超えている。それなのに通過人数は一律だ。スポーツの世界でこんなハンディが許されていいのだろうか。ちなみに各都道府県(男子)の最多登録は愛知の4,813名。競技人口だけでいえば、北海道、北信越、中国、四国、北九州、南九州を突破するよりも、愛知県大会を通過する方が難しいことになる。

この格差を解消するために、本気でインターハイの出場資格について考えてみた。まずは、現状の66名(11地区×6名)を各地区の登録者数に応じて分け合うとどうなるのか。計算するとザッとこんな感じになる。数字で見ると、物凄い格差だということが実感できるだろう。

北海道(2,511名)2名 
東北(6,588名)6名 
北関東(6,985名)7名
南関東(12,332名)12名
北信越(4,732名)5名
東海(10,508名)10名
近畿(10,885名)11名 
中国(4,672名)5名
四国(2,149名)2名
北九州(4,646名)4名
南九州(2,673名)2名

100~800mとハードル種目はB決勝をすることで、順位もつけられるので、悪くないと思った。しかし、全国への資格者が8名を超える地区の場合、決勝レースの「失格」を恐れて、〝安全運転〟する選手が出てくる可能性もある。それは教育上よろしくない。また各種目1校3名までがインターハイ路線にエントリーできることを考えると、最低でも各地区「3名」は全国の出場資格を確保する必要があるだろう。

そうなると地区大会を再編成する方法が有効になる。たとえば、「北海道・東北」「中国・四国」「全九州」にして、全11地区から全8地区に再編。通過は従来通り、各地区「6位」とするのだ。南関東と近畿の激戦は変わらないが、格差はかなり解消される。ただし、問題もある。北海道・東北、中国・四国の一部は交通手段がスムーズではないため、移動に多くの時間と労力が必要になることだ。

では、最善策はあるのか。筆者は以下のかたちをお勧めしたい。まずは地区大会の編成は従来通りで、全11地区。全国への通過ラインは各地区「3位」とする。プラスして、「ワイルドカード制」を導入して、高校記録保持者と前年のインターハイ優勝者は地区大会を免除。さらに、各地区大会で4~6位までに入った選手の中から、有効期限内の記録上位者(13~15人)をインビテーション(招待)する方式だ。

インターハイ出場者48名=各地区突破者33人(11地区×3名)+インビテーション15人(ワイルドカード含む)

この方式にすることで、高校記録保持者と前年のインターハイ優勝者は日本選手権に集中して臨むことができる。そして、レベルの高い地区の選手は3位以内に入ることができなくても、記録があれば〝救済〟されるかたちになる。出場枠は従来通り各地区に平等で、実力者のみがプラスして出場権をつかむことができるので、不満は少なくなるはずだ。

全体の出場枠を「66」から「48」に減らすことで新たなメリットも生まれる。100~800mとハードル種目の予選は6組2着+4(従来は8組2着+8)、同準決勝は2組3着+2(従来は3組2着+2)に編成。予選と準決勝で3組分のレースが減るため、時間の短縮になるのだ(なお混成競技はインターハイから除外して、8月の全国高校選抜で開催する)。朝10時から夜8時近くまでミッチリのスケジュールは真夏に組んではいけない。スケジュールのスリム化を図るとともに、大会期間も5日間から6日間に増やすことで、選手たちはゆとりを持って戦うことができる。

「アスリートファースト」の立場で、選手たちにより良い環境を提供することが、大人の役目ではないだろうか。高校生にとってインターハイが良き思い出になると同時に、将来につながるかけがえのない大会になるように、改善すべ点はどんどん変更していく。高体連には柔軟な姿勢で、高校生たちをしっかりナビゲートしていただきたいと思う。