「厚底」vs「薄底」 ランニングシューズでナイキに真っ向勝負を挑むNBの戦略

ランニングブームはすでに去ったという声もあるが、コアなランナー層は厚くなっており、国内におけるシューズやウエアなど「ランニング市場」は右肩上がりを続けている。そのなかで要注目のブランドがある。国内外でタウンスニーカーとして性別を問わず人気を集めてきた「ニューバランス(NB)」だ。

NBのランニングシューズは「スポーツアイテム」というよりも、「オシャレアイテム」というイメージが強かった。それが大きく変わろうとしている。

今年正月の箱根駅伝では23人ものランナーがNBのシューズを使用していた。前年はたった4人だった。NBは箱根駅伝出場大学のうち2校(拓殖大と上武大)とユニフォーム契約をしていることもあり、両校のなかには好んで履いている選手はいた。しかし、今年は他のメーカーとユニフォーム契約している大学の選手が、シューズをNBに〝鞍替え〟したかたちだ。

それはなぜか。

日本のランニング市場を動かすキーパーソンの〝電撃移籍〟が影響している。高橋尚子、野口みずきら五輪マラソンの金メダリストのシューズを手がけ、世界のトップ「現代の名工」(厚生労働省が表彰する卓越した技能者)や「黄綬褒章」を受賞しているシューズ職人、三村仁司さん(69歳)が今年1月からNBと契約。彼が別注シューズを手掛けていた選手の多くがNBを履くようになったのだ。三村さんは、大人気だったTBSドラマ「陸王」(原作:池井戸潤)に登場するカリスマシューフィッターのモデルとも言われている。

正確にいうと、NBは三村さんが代表を務める「M.Lab(ミムラボ)」と今年から5年間(オプションで+3年)のグローバル・パートナー契約を締結した。三村さんは長年勤めていたアシックスを定年退職後、アディダスの専属アドバイザーを経て、充電期間の間に4社ほどからオファーがあったという。そのなかでNBを新たなパートナーに選び、今後はトップアスリートに別注シューズを提供するとともに、新商品の開発にも携わることになる。

近年、NBは国内ランニング事業での売り上げを伸ばしており、同社によれば過去4年間の平均成長率は19.6%。2020年には国内シェアで「20%」(現在は約15%前後)という目標を定めるなど、今後はランニングで「ナンバー1になっていく」と息巻いている。そのため、弱点であったシリアスランナー層へのアプローチが課題になっていた。そこに登場したのが伝説のシューズ職人、三村さんというわけだ。

これまで国内トップランナーとほとんど契約していなかったNBだが、元日に行われた全日本実業団駅伝(ニューイヤー駅伝)でもNBマークのシューズを履く選手が急増している。

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